雨
午後から雨になるという天気予報にもかかわらず朝方は晴れ間も出ていたので、小型の折りたたみ傘を鞄に忍ばせて外出した。
特に急ぎではなかったのだけれど、済ませておきたい件があったので、この日にしたのだ。
「夕方までは何とかもつだろう」
内心は少し不安だったが、昼過ぎに最寄りの駅まで向かった。
その結果、見事に予想は外れた。
夕方から大雨となり、ずぶぬれになって帰宅する羽目になった。
着ていた服も靴も、手にしていた雑誌も水浸しとなってしまった。
以前は「当たるも八卦、当たらぬも八卦」といったらおおげさかもしれないが、予想が外れることがたまにあったりもしたが、最近の天気予報はかなりの割合で的中しているようだ。
お天気お姉さんが、ニッコリ笑いながら原稿を棒読みする時代とはうって変わって、今や各テレビ局では、それぞれ専門家の天気予報士を擁立している。
この日は、知り合いのお宅に伺うつもりだったのだが、道すがらボロボロになった手土産に気持ちも萎え、また別の機会にということにしてそのまま帰ってきた。
びしょ濡れでまっすぐ帰宅するのも気持ちが悪かったので、「スポーツクラブでサッパリして」と一汗流してから、思い通りに物事が進まなかった長い一日が終わった。
翌日は好天に恵まれた。
「訪問は今日にしておけばよかった」と後悔しても、もう後の祭りだった。
過去は決して戻らない。
願い通り、思い通りにいかなかったからこそ、別の機会に物事が上手く進んだ喜びが味わえる。
悔し紛れかもしれないけれど、人生には予期せぬ回り道をする時間も必要だと改めて思い知った雨の一日だった。
あまり適切でない喩えで恐縮だが、名古屋の性感エステ店に行ってあまり好みでない女性が出てきたけれど、予想以上にサービスが良くて大満足したようなもの。
皆さん、好みではないコンパニオンが出てきても、決してそこで諦めないように。
そして、天気予報は信じましょう。